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仮に名前をA氏とする。実在の人だからあまり詳述すると特定されかねないので、とにかく派手な買い方をする競輪狂だったとだけ書いてかおく。
平塚の商店街でA氏にばったり逢ったことがある。互いに競輪場からの帰り道で、立ち話の内容はレースのことだった。A氏は野村哲郎だか五味実(十数年前の話だが当時も二人は一発屋の印象が濃かった)を追っかけてきたのだと熱っぽく喋った。軽くやっていくかと誘われたが、A氏の取り巻きが派手な女性にこわもての巨漢だったこともあり、遠慮した。
偶然出くわしたその平塚から四、五年後だと思う、京王閣のバックスタンドの裏でA氏を見かけたのは。現在のような立派なスタンドが建つ前の、煮込みやおでんの匂いが立ち昇る昔の京王閣競輪場バックでだ。誰が見てもおしゃれだったA氏の身なりはちらと見ただけでも崩れていた。ホームスタンドの指定席に陣取っていたA氏を最近見ないと誰かが言っていた。向こうが気づいたかどうかは知らない。ぼくは見てはいけないものを見てしまった気がして、隠れるようにその場から離れた。
ダービー開催中の平塚の商店街を歩けば、またA氏が向こうの角から歩いてくるかもしれない。ぱりっとした背広姿で妙齢の女性帯同のA氏が現れればいい。